「鳥影」




寝ぼけ眼で電車に乗って 外の景色を眺めていると
遠くの空を一羽の鳥影が 電車と並走する様に飛ぶ姿が
視界の角に映った

その鳥は いつまでも いつまでも
電車を追って飛んでいた

不思議に思い よく見てみると
それは鳥ではなくて 窓に付いた小さなゴミだった

なあんだ
その時僕は そう思った

だけど よく考えてみると
やっぱりあれは 鳥だったのだ

見間違えが生んだ鳥
それがゴミだと気づくまでの 短い命を羽ばたいた
鳥だったのだ






           戻る