「やり直し」
少年がふたり、机をはさんで向かい合う様にして立っている。
机の上には、小さな箱がひとつ置いてある。
ふたりは箱の真ん中に開いた、小さなのぞき窓から、
交互に中をのぞき込んでは、お互い顔を見合わせ、
何やら考え込んでいる。
「だめかな?」
「うん、だめだね。」
ふたりは大きく溜め息をつく。
「始めから、やり直そうか?」
「そうだね。やり直そう、始めから。」
ようやく決心が着いた様に、少年のひとりが箱を持ち上げて、
軽くひと振りした。
途端に僕たちがいるこの世界は、跡形もなく消滅した。
箱の中の宇宙を壊す事など、たったこれだけで充分なのだ。
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