(4)


クリムはまた、体にむち打って必死に働いてお金をためて、
今度こそようやくお医者にかかることができましたが、そ
の時にはもう病気はとても悪くなっていて、病院に着くと
すぐに倒れてしまいました。
「君、どうしてこんなに悪くなるまで放っておいたんだ?
こうなってしまったら治るかどうか、僕には保障できない
よ。」
ぴかぴかの金縁の、いかにも高そうなめがねをかけたお医
者の猫は、クリムを病室のベッドに寝かせて、まゆをひそ
めて言いました。
「お金がなかったのです。お金が貯まるたびに困っている
猫に出会って、そのお金をあげてしまって、そのたびにお
医者にかかることができなくなったのです。」
「君は馬鹿だねえ。困っている猫を助けるのはいいけど、
それで自分が困ってしまったら仕方がないじゃないか。一
番大事なのは自分だろう?」
お医者の猫は呆れた顔をしてそう言いました。
「でも先生、僕はそうとも思いません。僕のお金で命が助
かったり、幸せになったりした猫がいるのです。やっぱり
僕は、間違ったことをしたとは思いません。だから後悔は
していません。もしもう一度生まれ変わっても、やっぱり
僕は同じことをするでしょう。」
そう言ってクリムは、つらそうな顔で少しだけ笑いました。
するとお医者の猫はだまってしまって、顔を赤くして下を
向きました。

それから一週間後、とうとうクリムは亡くなってしまいま
した。

クリムが最初に助けたオス猫は、クリムにもらったお金で
家賃を払って、新しい仕事も見つかりました。その後、オ
ス猫は不動産屋さんになって、ただ同然の安い家賃で家を
貸して、たくさんの貧しい猫たちを助けました。
二番目に助けた若い猫は、ごはんを食べてすっかり元気に
なると、飲食店で働くようになりました。それからやがて
独立して、お金のない猫たちには無料でごはんを提供しま
した。
三番目に助けた親子の男の子は、大きくなってお医者にな
りました。そして、貧しくてお医者にかかれない猫たちか
らはお金を取らずに診てあげて、たくさんの病気の猫の命
を救いました。

みなさん。彼らはみんな、クリムの子どもたちなのです。
あかの他人猫だけれど、クリムの子どもたちなのです。

僕はそう思うのです。
                     (おわり)






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