(3)


それからまた何日か、クリムはふらふらになりながら働い
て、またお金を貯めました。その頃には体がだるいのと、
頭が痛いのと、めまいがするのに加えて、熱とせきもひど
くなっていました。
「今度こそちゃんと、お医者に診てもらわなくちゃ。」
クリムは、あっちにふらふら、こっちにふらふらしながら、
ようやく病院の前まで来ました。するとそこに、小さい男
の子とそのお母さんらしき猫の親子が立っていて、お母さ
ん猫がしくしくと泣いていました。
「どうして泣いてるんですか?」
クリムはふらふらしながらも、その親子が気になってたず
ねました。
「この子の具合が悪くて‥‥でも、病院で診てもらうお金
がないんです。ほんの少しでも診てもらえないかと思って
来てみたんですが、お金がなければだめだと言われてしま
ったんです。」
なるほど見ると男の子は、ごほんごほんと苦しそうにせき
をしています。クリムはやっぱりまた、その親子が気の毒
でしかたなくなりました。
「ひどい話だなあ。さあ、このお金をあげますから、早く
その子を診てもらって下さい。」
クリムがそう言うと、お母さん猫はびっくりした顔をしま
した。
「そんなわけにはいきません。あなたも具合が悪くて病院
に来たんでしょう?」
「なに、僕は大したことありません。それよりその子の方
が心配です。だから遠慮せずに受け取って下さい。」
するとお母さん猫は、涙をぽろぽろ流して喜びました。
「ありがとうございます!ありがとうございます!お金は
必ずお返しします。」
「いいからいいから。さあ早く。」
お母さん猫は、何度も何度もクリムにお礼を言って、病院
に入っていきました。男の子は最後にちょっとだけ、クリ
ムに手をふってくれました。
「ああ‥‥やっぱり僕はまた、お医者に診てもらえなくな
ってしまったな。」
クリムは、あっちにふらふら、こっちにふらふらしながら、
もと来た道を帰っていきました。けれども、体はひどくつ
らかったのですが、男の子の手をふる姿を思い出すと、気
持ちはなんだかよいようでした。






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