大泥棒ピカーブ・パロッソ最後の仕事


(1)


ネコオルランドには、国中にその名を知られた大泥棒がい
ます。その大泥棒の名前は、ピカーブ・パロッソと言いま
す。
ピカーブ・パロッソは、ネコオルランドのありとあらゆる
場所で、銀行のお金や、宝石や美術品や、その他たくさん
の高価な物を盗んで、一度も捕まったことがないのです。
ですから、誰もその姿を見たことがありませんでした。
ネコオルランドの猫たちは、パロッソのニュースを見るた
びに、
「ああ、またパロッソが盗みを働いたね。」
「どうせまた捕まらないだろうね。」
「警察も頼りにならないね。」
「情けないね。」
などと噂していました。
このままでは警察の面目は丸潰れです。ですから警察も名
誉挽回のため、何としてもパロッソを捕まえようと必死で
した。そこで、パロッソを捕まえたり、居場所を教えてく
れた者には、大きな家が一軒買えるぐらいの賞金を出すこ
とにしました。それでもやっぱりパロッソを捕まえられな
いまま、何年も過ぎてしまったのです。ですから猫たちは
相変わらず、
「ああ、またパロッソが盗みを働いたね。」
「どうせまた捕まらないだろうね。」
「警察も頼りにならないね。」
「情けないね。」
などと噂していました。

さてここで、パロッソがどんな猫なのか、このお話を読ん
でいる皆さんにだけ、こっそりお教えしましょう。
ピカーブ・パロッソは、銀色の体に青い目をしていて、す
らっと背が高くて、端正な顔立ちの紳士の猫です。大きな
家に住んでいて、家の中は、今までに盗んだ絵画や彫刻や、
豪華な家具や置物でいっぱいでした。上品で礼儀正しく、
いつもぱりっとしたスーツを身にまとっていたので、誰も
彼のことを、あの大泥棒だとは思いも寄らなかったのです。

さて、そんなパロッソですが、最近気持ちに少し変化が出
てきました。というのも、盗むことに少々飽きてきたよう
なのです。
(俺は今まで、いろんなものを盗んできた。もう欲しいも
のは何もない。金も欲しいとは思わない。贅沢な暮らしと
いうのも、馴れてしまえば実につまらないものだ。かとい
って他にやりたいこともないし‥‥さて、これからどうし
たものかな?)






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