(2)
ある日の昼下がり、パロッソはひとりで公園のベンチに座
っていました。彼は最近、散歩の途中にこの公園にやって
来るのが日課になっていました。というのも、この公園に
ちょっと気になる猫がいたからです。
公園の中央広場を挟んだ向こう側のベンチにその猫はいま
した。それは小さな女の子の白い猫で、宝石のような美し
いピンクの瞳をしていていました。広場にはその子と同じ
ぐらいの歳格好の子猫たちがたくさんいて、楽しそうに大
きな声で笑いながら走り回って遊んでいるのですが、女の
子はその仲間には入らず、いつもひとりでその様子を遠く
から眺めていました。
(どうして一緒に遊ばないんだろう?)
パロッソは、いつもそれを不思議に思って気になっていた
のですが、とうとうその日、我慢できなくなって、その女
の子のいるベンチまで行って、横に座りました。女の子は
パロッソの方を見ましたが、驚いたり怖がったりする様子
はありませんでした。
「こんにちは。」
パロッソは、女の子が怖がらないようにつとめて優しい声
で話しかけました。
「こんにちは。」
女の子は怖がる様子もなく、真っ直ぐにパロッソを見上げ
て答えました。
「ちょっと君と話をしてもいいかな?」
「ええ。」
「いつも君はここから、みんなが遊んでいるのを見ている
よね。どうして一緒に遊ばないんだい?」
「私は体が弱くて走り回ることが出来ないので、一緒には
遊べないの。」
「そうだったのか‥‥」
女の子の顔が少し悲しそうに曇ったような気がして、パロ
ッソは悪いことを聞いてしまったと思い、彼女が気の毒に
なりました。
「変なことを聞いてごめんね。私もいつもこの公園に来て、
あっちのベンチに座っているんだ。」
「ええ、知ってるわ。」
「そうか。あそこに座っていても、他にやることもなくて
ね。とても退屈していたんだ。もし嫌じゃなければ、時々
話相手になってくれないかな?」
「ええ、いいわ。」
女の子がにっこり笑ってそう答えてくれたので、パロッソ
は少しほっとしました。
それからふたりは時々、いや、ほとんど毎日その公園のベ
ンチに並んで座って、話をするようになりました。
前へ 戻る 次へ
|