(6)
それから何日か後、警察署長はポワンカレーナが入院して
いる病院を訪れ、彼女の両親に会って、お金を渡しました。
パロッソの望み通りにしてあげたのです。
「これは私の知り合いのある男から託されたお金です。彼
はあなた方の娘さんの友だちなのですが、娘さんが病気と
聞いて大変心配しています。残念ながら事情があって会い
に来られないのですが、是非ともこのお金を治療のために
使って欲しいと言っていました。彼は信用のできる男です。
私が保証しますので、どうぞ受け取ってやって下さい。私
からもお願いします。」
両親は、初めは戸惑っていましたが、署長の話を聞いて、
泣いて喜んでお金を受け取って、何度も何度も頭を下げて
お礼を言いました。
そのあと署長は病室に行って、ポワンカレーナに会いまし
た。
「君とよく公園で会って話をしていたおじさんがいただろ
う?私はそのおじさんの友だちなんだ。実はあのおじさん
は、急に遠くに引っ越すことになってね。君に会いに来ら
れなくなってしまったんだ。君が病気だと聞いて、とても
心配していたよ。」
署長がそう言うと、ポワンカレーナはびっくりして目を丸
くしました。
「いつ帰って来るの?」
「さあ‥‥私にもわからないな。」
それを聞くとポワンカレーナは下を向いて、しくしくと泣
き出してしまいました。
「元気を出して。今日からは私が君の友だちになって、時
々会いに来るからね。早く病気を治して、おじさんが帰っ
てきた時元気な姿を見せてあげなくちゃね。」
そう言って署長が優しく頭をなでると、ポワンカレーナは
顔を上げ涙をふいて、ほんの少しだけ笑ってみせました。
窓の外は穏やかに晴れて、春がもうすぐそこまで近づいて
来ているようでした。
(おわり)
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