(3)


スパロッティーの家の前まで来ると、ワギーテイルはスワ
ロッティーに、
「ここで待っていて。スパロッティーを呼んで来るから。」
と言って、家の中に入って行きました。
二分か三分くらいの間、心臓をどきどきさせながらスワロ
ッティーが待っていると、ワギーテイルがスパロッティー
を連れて戻って来ました。
「さあ、スワロッティー。スパロッティーに言いたいこと
があるんだろう?勇気を出して言ってごらん。」
けれどもスワロッティーは、なかなか言葉が出なくてもじ
もじしていました。
「なあに言いたいことって?」
スパロッティーが不思議そうに首をかしげて言いました。
するとスワロッティーは、一度目をつぶって大きく息を吐
いて、ようやく小さな声をしぼり出しました。
「あの‥‥これ‥‥」
スワロッティーが手を差し出して持っているものを見せる
と、スパロッティーは驚いて叫びました。
「あっ、僕のガラス玉!」
スパロッティーは、ガラス玉を手に取ると、うれしそうに
笑いました。
「見つけてくれたんだね?ありがとう。どこにあったの?」
「違うんだ。僕‥‥嘘をついてたんだ。」
「えっ?」
「君がそのガラス玉を落として探してた時、僕‥‥もうそ
れを見つけて持っていたんだ。」
スパロッティーは、驚いて大きな目をいっそう大きく見開
きました。スワロッティーは、もう一度大きく息を吐いて
話を続けました。
「なんでか分からないけど‥‥僕、本当のことを言えなく
て、嘘をついちゃったんだ。そのガラス玉がすごく欲しか
ったから、だまっていれば僕のものになるって思ったのか
な?でもそのあと‥‥君に悪くて‥‥なんでこんなことし
ちゃったんだろうって思って‥‥それで‥‥君に返して‥
‥謝ろうと思って‥‥」
話ながらスワロッティーの声は、だんだん震えて途切れ途
切れになってきて、目には涙が浮かんで、とうとう顔をく
しゃくしゃにして泣き出しました。
「ごめんね!ごめんね!僕のこと、嫌いにならないで!」
すると、それを見ていたスパロッティーは、ガラス玉が戻
ってきてうれしいのと、その何倍もスワロッティーがかわ
いそうなのとが合わさって、目から涙がぽろぽろとこぼれ
てきて、スワロッティーの後を追うように泣き出してしま
いました。
「返してくれてありがとう‥‥僕、怒ってないよ!君のこ
と嫌いにならないよ!だから‥‥もう泣かないで!」
ふたりは向かい合ったまま、いつまでも声を上げて泣いて
いました。その横でワギーテイルは、相変わらずしっぽを
上下にかくかく振りながら、なにも言わず優しい笑顔でふ
たりを見ていました。
空はいつの間にか暮れ始めて、夕陽が町を赤く染めていま
した。

                      (おわり)






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