(2)
家に帰るとスワロッティーは、ズボンのポケットから青い
ガラス玉を取り出し、手の上に乗せてじっと見つめました。
欲しかったものが手に入ったのに、ちっともうれしくあり
ませんでした。もしもそれが幸せなのだとしても、それは
とても居心地の悪い、いやな幸せだと思いました。
「ああ‥‥僕はどうしてあの時、本当のことを言わなかっ
たんだろう?どうして嘘をついてしまったんだろう?」
一日が過ぎ、二日が過ぎましたが、居心地の悪さは雪だる
まが転げるように大きくなっていく気がしました。そして
三日目、スワロッティーはいたたまれなくなって、いろい
ろ考えた末にスパロッティーにガラス玉を返しに行くこと
にしました。
「でも‥‥僕が嘘をついたって知ったら、きっと怒るだろ
うな。許してくれるかな?もう会ってくれなくなるかもし
れない‥‥」
スパロッティーの家に向かって歩いていると、スワロッテ
ィーはだんだん心配になってきました。本当のことは言わ
ずに、あのあと道に落ちていたのを見つけたことにしよう
か、などとも考えましたが、もうこれ以上嘘をついて、居
心地の悪い思いを大きくしたくありませんでした。
「どうしよう‥‥謝ろうか?それともよそうか?」
思い悩んだスワロッティーが、道ばたで前へ後ろへ進んだ
り戻ったり、うろうろしていると、誰かが声をかけてきま
した。
「何をしてるんだい、スワロッティー?」
「あっ、ワギーテイル。」
それはワギーテイルという名前の、全身白と黒と灰色のま
だら模様のオス猫でした。ワギーテイルは、スパロッティ
ーの死んだお兄さんの友達で、スワロッティーたちより少
し年上だったので、ふたりを弟のように可愛がってくれて
いました。
「なんだか様子がおかしいね。何かあったのかい?」
「うん、じつは‥‥」
スワロッティーはワギーテイルに、正直に本当のことを話
しました。
「それは‥‥困ったことになったね。」
ワギーテイルはそう言って、黒くて長いしっぽを、セキレ
イみたいに上下にかくかくと振りました。
「僕、本当のことを言って謝りたいんだけど‥‥スパロッ
ティーは許してくれるかな?もし僕のことが嫌いになって、
もう会わないよって言われたらどうしよう‥‥」
話ながらスワロッティーの目が、みるみるうちに涙で濡れ
てきました。
「大丈夫さ。スパロッティーはそんなこと言わないよ。よ
し、僕がいっしょに行ってあげるから、正直に話して謝っ
てごらんよ。きっと許してくれるさ。」
ワギーテイルが、スワロッティーを励ますように小刻みに
しっぽをかくかく振りながら、前をずんずん歩いて行くと、
スワロッティーはおどおどしながら、その後ろにくっつい
て行きました。時刻はちょうどお昼を過ぎた頃で、頭の上
では太陽が傾き始めていました。
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