(7)


「みんな、大丈夫か?」
ギャンゴーはゆっくり起き上がると、他の三人に声をかけ
ました。

「ああ、何とか。」
リアーニが周りを見渡して言いました。
すると今度はロミが、火がついたように喋り出しました。

「あいつはとんでもない怪物ですよ!私たちは、あいつを
相手にするべきじゃなかったんです!あいつを怒らせちゃ
いけなかったんだ!もう諦めて、早く帰りましょう!」

「うるさいぞ!静かにしろ!」
リアーニがいらいらして、大声でそう怒鳴ると、ロミはし
ゅんとして口をすぼめました。

「見ろ!またこっちへ来るぞ!」
レクーが窓の外を指差して叫びました。見るとゴーフが先
ほどと同じように、数百メートル先から勢いをつけて、も
のすごいスピードでこちらへ向かってきます。

「みんな、その場に屈んで自分の身を守るんだ!」
ギャンゴーの指示を受けて、三人は頭を抱えて床にうずく
まりました。

「ひーっ!助けてー、神様ー!」
ロミの甲高い声が響いた次の瞬間、ゴーフが船の真横から
激突して、船体はけたたましい音を立てて、大きな横揺れ
に襲われました。操舵室の中は、計器類や棚や調査道具が
倒れてきて、四人は室内のあちこちへ弾き飛ばされて、そ
れぞれに悲鳴を上げました。
「うわー!」

しばらくすると、大きな揺れが収まって、船内は静かにな
りました。ギャンゴーは、恐る恐る体を起こして辺りを見
渡しました。操舵室の中は、ありとあらゆるものが倒れて
散乱していて、惨憺(さんたん)たることになっています。

「みんな、無事か?」
ギャンゴーが三人に声をかけると、
「ええ、大丈夫です。」
「こっちも生きてるぜ。」
と、レクーとリアーニが返事をしました。

「ロミ、ロミはどこだ?」
ギャンゴーはそう言って、もう一度周りを見回しました。
するとどこからか、ロミのか細い声が聞こえてきました。

「た、助けて‥‥」
「ロミ!どこにいる!」
三人は急いで立ち上がって、ロミを探しました。すると、
ロミは部屋の隅の方で、倒れてきた機械の下敷きになって、
上半身だけが見えていました。

「ロミ!」
「足が‥‥足を挟まれて、動けないんです。」
ロミは、苦しそうに言いました。

「待ってろ!今助けてやる!」
そう言って三人は、ロミの上に倒れている機械を持ち上げ
ようとしましたが、みんなで力を合わせても、びくとも動
きません。
その時、不意にリアーニが声を上げました。

「おい見てみろ、船の様子がおかしいぞ!」
ギャンゴーとレクーが窓の外を見てみると、ドルフィン号
は徐々に海に沈み込んでいるようで、海面が甲板すれすれ
の高さまでせり上がってきています。

「さっきのゴーフの体当たりで船に穴が空いたんだ。」
レクーが険しい顔をして言いました。






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