(9)
ゴーフは背中にミレニアム・ドルフィン号を乗せたまま、
ゆっくり泳ぎ出しました。それからいつまで経っても、船
をひっくり返す気配はありません。
「変だな、何もしてこないぞ。どこへ向かう気だ?」
ギャンゴーはそう言って首を傾げました。
それから何時間も、ゴーフは静かに泳ぎ続けました。その
間に三人は機械を分解して、その下からロミを救い出すこ
とが出来ました。
やがて雨が止み、日が暮れて辺りは暗くなってきました。
「おい、見ろ!明かりが見えるぞ!」
レクーが窓の外を指差して言いました。
他の三人が見てみると、前方の暗闇の中に、ぽつぽつとい
くつかの小さな光があります。
「港だ!」
四人は同時に叫びました。
ゴーフは港に近づいて行くと、不意に沈み込んで船を背中
からゆっくりと降ろして、そのままどこかへ行ってしまい
ました。
四人は救命ボートに乗り込んで、港に向かって進んで行き
ました。その途中、ドルフィン号を発見して港からやって
来た救助船に救助されて、無事ネコオルランドに帰って来
ることができました。
四人はすぐさま、港の病院に運ばれましたが、ロミが足を
痛めている以外は、特に大きな怪我はありませんでした。
ただ、みんなとても疲れていたので、ベッドに横になると、
すぐにぐっすり眠ってしまいました。
その夜、ギャンゴーは夢の中で不思議な声を聞きました。
その声は彼に、こう語りかけました。
(勇敢な猫のリーダーよ、お前に警告しておく。お前たち
は、我々魚を獲り過ぎている。
それはお前たちだって、生きるためには魚を獲って食べね
ばならないだろう。
それは仕方のないことだが、その必要以上にお前たちは、
我々の命を奪っている。
魚だけではない。お前たちは自分の身勝手なファッション
やステータスのために、様々な生き物の命や自由を脅かし
ている。そのせいで、自然界のバランスが崩れてきている
のだ。
だが言っておくが、お前たちがどれだけ勝手なことをして
自然界のバランスを崩したところで、この星の自然が完全
に死に絶えることはない。
もしもそんな風に思っているなら、それは自惚れというも
のだ。お前たちの力など、この星の自然界からすれば、ほ
んの微々たるものだ。
言ってみれば、自然界の枝葉の部分が多少傷つきなくなる
だけで、その根っこのところはびくともしない。
枝葉がなくなって困るのは、枝葉にぶら下がって生きてい
るお前たち自身なのだ。
この星は、お前たちの存在が目に余るほど邪魔になれば、
お前たちが生きていけないように環境を変えて、お前たち
がぶら下がっている枝葉だけを枯れ落として、いとも容易
く滅ぼしてしまうだろう。
ちょうど生物が体内の有害な細菌を、免疫で殺そうとする
ように。
お前たちは、自分で自分の首をしめているのだ。
だからこれは、お前たちのための警告なのだ。私が心配し
ているのは、この星の自然ではなく、お前たちなのだ。
よく考えてみることだ。手遅れにならないうちに。)
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