(4)
パロッソとポワンカレーナが仲良しになってしばらく過ぎ
た、ある冬の日のことです。その日、パロッソがいつまで
待っていても、ポワンカレーナが公園に来ませんでした。
次の日も、その次の日もポワンカレーナは姿を見せません
でした。そうしてそのまま一週間が過ぎてしまいました。
「どうしたんだろう?」
心配になったパロッソは、ある日、公園の清掃をしている
掃除夫の老猫に声をかけました。
「いつもこのベンチに女の子が座っていたでしょう?最近
姿が見えないのですが、どうしたんでしょう?何かご存じ
ではないですか?」
するとその老猫は、顔を曇らせてこう言いました。
「ああ、あの子ですか。噂によると、病気になって病院に
入院したそうです。」
「えっ!」
パロッソは驚いて大きな声を出しました。
「重い病気なんでしょうか?」
「ええ、なんでも手術をしなければ治らないらしいのです
が、とてもお金がかかるのでその手術が受けられなくて、
両親も大変困っているそうです。」
「そんな‥‥」
パロッソは、全身に冷たい水を浴びたみたいにショックを
受けました。
「まだ小さいのにねえ、かわいそうに‥‥」
そう言って老猫がその場を去った後も、パロッソは呆然と
して、しばらくその場に立ちすくんでいました。
その夜、パロッソはベッドに横になって、ポワンカレーナ
のことを考えていました。
(なんとかあの子を助けてあげたいが、盗んだ金はもう、
ほとんど使ってしまって残っていない。宝石や家具を売っ
てしまおうか?いや、それではすぐに盗品だとばれてしま
うだろう。家を売ろうか?いやいや、それでもやはり身元
がばれてしまうな。いっそもう一度、盗みを働くか?だが
俺はもう、盗みはしないと誓ったのだ。その誓いを破るの
か?だがあの子の命を救うには、それしかないんじゃない
のか?)
パロッソの心は振り子のように激しく揺れ動いて、その夜
は一睡もできませんでした。家の外では北風がぴゅうぴゅ
う吹いて、枯れ木をがさがさと揺らしていました。
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