(2)


ふたりの若いオス猫は、人通りの少ない街角まで来ると立
ち止まって、ビルの物かげから向こう側を覗き見ながら、
ウォルホーに言いました。
「あの店が見えるかい?」

彼らが指差す先には、小さな食料品のお店があります。そ
れを見てウォルホーはうなずきました。
「はい、見えます。」
「よし。いいかい、これから君ひとりであの店に行って、
売っているものを何でもいいからこのかばんに入るだけ入
れて帰って来るんだ。ただしそれを、店員や他の客に見つ
からないように、こっそり隠れてやるんだ。」
「どうして見つからないようにするんですか?」
「そういうゲームなのさ。見つかったら僕たちの負けだ。
どうだい、できるかい?」
「はい、やってみます。」

大きな手さげかばんを手渡されると、ウォルホーはひとり
でそのお店に入って行きました。そして店員さんや他のお
客さんに見られないように用心深くこっそりと、お店の品
物を次々にかばんの中に入れて、かばんが一杯になるとま
たこっそりとお店を出て、ふたりのオス猫の所に戻って来
ました。

「よし、うまいぞ。よくやった!」
ふたりは大喜びでウォルホーからかばんをもらいました。
それから三人で町外れの古い空き家までやって来ると、か
ばんの中からすぐに食べられそうなパンや缶詰めやミルク
を取り出して食べました。

「お店のものを勝手に食べたりしていいんですか?」
ウォルホーが不思議に思ってふたりに訊ねました。

「僕たちはゲームに勝ったから、これはもう僕たちのもの
なのさ。さあ、残りの品物を売ってくるから、君はここで
待っていてくれ。」
ふたりはそう答えると、残りの品物を持って空き家を出て
行きました。
しばらく待っていると、ふたりは空になったかばんとお金
を持って帰って来ました。

「これは君の分け前だ。受け取りたまえ。今日からは君も
僕たちの仲間だからね。」
そう言いながらふたりは、ウォルホーにお金を渡しました。

(こんなことでお金が稼げるのか。都会って不思議な所だ
なあ。)
ウォルホーは、わけも分からずそう思いました。

次の日もその次の日も、ウォルホーはふたりのオス猫に連
れられて、ヨークハームのあちこちのお店に入っては、同
じように売り物をこっそりかばんに詰めて戻って来ました。

「君はなかなかスジがいいなあ。この分だと僕たちは、あ
っという間に金持ちになれるぞ!」
ふたりのオス猫にそう言われて褒められると、ウォルホー
は嬉しくなりました。

(お金持ちになんてなりたいとは思わないけど‥‥こんな
に喜んでくれるんだったら、僕はこのお兄さんたちのため
に、一生懸命頑張ってこの仕事を続けよう。)






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